人事労務ニュース
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文書作成日:2026/09/29

2025年の労基署の監督指導における賃金不払事案は128億円

 先月、厚生労働省は「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和7年)」を公表しました。これは2025年1月から2025年12月までに、全国の労働基準監督署が、賃金不払が疑われる事業場に対して実施した監督指導の結果を取りまとめたものです。以下ではその結果と実際の監督指導の事例をとり上げます。

[1]監督指導状況
 2025年に全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数、対象労働者数及び金額は以下のとおりです。

 件数      22,605 件 (前年比 251件増)
 対象労働者数 173,016 人(同 12,181人減)
 金額      128億5,782万円 (同 43億5,331万円減)

 件数を業種別にみてみると、商業の4,701件がもっとも多く全体の20.8%を占め、製造業4,370件、保健衛生業3,620件、接客娯楽業2,813件、建設業2,290件と続いています。一方、対象労働者数を業種別にみてみると、保健衛生業の47,033人がもっとも多く全体の27.2%を占め、製造業43,028人、商業20,568人と続いています。

[2]監督指導の対象となった事案
 本結果の中では「監督指導による是正事例」が紹介されています。自社の労働時間管理の在り方を見直す際の参考となりますので、ここでは割増賃金の適正な支払と労働時間の適正な把握に関する指導事例をとり上げます。

[概要]
 始業直前・終業直後の15分間について、一律に切り捨てており、その分の賃金が支払われていないとの情報を受け、労働基準監督署が立入調査を実施したところ、以下の実態が認められた。

  • ICカードで労働時間を管理しているが、始業直前・終業直後の15分間について、業務に従事していたか否かにかかわらず、一律に切り捨てる処理を行っていた。
  • 当該処理は慣例となっており、労働者によっては、当該15分間に業務に従事していた可能性は否定できないものであった。

[労働基準監督署の指導]
 過去に遡って各労働者から事実関係の聞き取りを行うなどの実態調査を実施の上、実際の支払額との差額の割増賃金の支払が必要となる場合には追加で支払うこと。また、労働時間を適正に把握するための具体的方策を検討・実施すること。

[事業場の対応]
 過去に遡って実態調査を実施したところ、始業開始・終業直後の15分間に業務に従事していた労働者が複数おり、割増賃金の不払が認められたため、追加で差額の割増賃金を支払うとともに、これまで行ってきた一律の切捨て処理を廃止し、始業直前・終業直後であっても、業務に従事していた時間については割増賃金を支払うこととした。

 始業直前・終業直後であったとしても従業員が業務に従事している場合、それは労働時間となり、賃金の支払いが必要になります。特に始業前はこうした不払いが発生しやすいので、早出勤務の申請ルールの整備など、対策を検討しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和7年)を公表します」

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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