会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
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文書作成日:2025/05/08
改めて確認したい無期転換申込権の発生と特例の取扱い

先日、木戸部長はパート従業員から無期転換に関する質問を受けた。これまで無期転換申込みの実績はないが、改めて無期転換制度について社労士に確認することにした。

 今日は、無期転換について復習させてください。

 どうされましたか?パートの方から、無期転換の申込みでもあったのですか?

 いいえ、申込みはありませんが、パートさんから無期転換について質問を受けました。無期転換制度が施行されたのは、かなり前になるので、改めて内容を理解しておきたいと思っています。

 なるほど。無期転換申込権は、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えると、無期労働契約に申込みができる権利(無期転換申込権)が発生するというものですね。そして、実際に従業員から申込みがあると、次の契約から無期労働契約に転換されます。

 この5年のカウントですが、従業員の事情で正社員(無期契約労働者)からパートタイマー(有期契約労働者)に変わった場合、正社員として入社してから5年が経過すると、無期転換への申込みができるのでしょうか?

 5年の対象は、「有期労働契約」の期間ですので、パートタイマーの期間だけですね。

 なるほど。そこは契約を分けて考えるのですね。ちなみに、当社では、正社員が60歳で定年退職し、その後、65歳まで1年更新の有期労働契約を締結しています。人材確保の観点から、65歳以降も引き続き契約更新をしたいと思っていますが、今のお話からすると、有期労働契約が通算5年を超える65歳超の契約を締結することで、無期転換申込権が発生するという理解でよいですか?

 原則はその通りです。ただ、正社員であった人が定年を迎えた場合については、特例が設けられています。

 思い出してきました。何か申請書がありましたね。

 そうです。申請書の名称は「第二種計画認定・変更申請書」です。この申請書を提出し、労働局の認定を受けることで、当社で定年を迎えた従業員がその後、有期労働契約を反復更新して通算5年を超えたとしても、無期転換申込権が発生しないという取り扱いになります。

 定年後も、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えると、無期転換申込権が発生すると思っていました。まずは、この認定を受けることで有期契約として続けることができますね。木戸部長、手続きをしていないようであれば、申請を進めてください。

 わかりました。

 2025年4月に「第二種計画認定・変更申請書」の様式が変更になりました。申請の際は、厚生労働省等のホームページから新しい様式をダウンロードして使ってください。また手続きに関して分からないことが出てきましたら、いつでもご連絡ください。  

>>次回に続く



 ここでは、定年後の継続雇用の特例に係る労働条件の明示について補足します。
 事業主は、対象となる従業員に対して、定年後、引き続き雇用されている期間が、無期転換申込権が発生しない期間であることを書面で明示する必要があります。以下は、厚生労働省のモデル労働条件通知書の該当部分で、今回のケースはU(定年後の高齢者)になります。すでに認定を受け、対象者がいる場合は、労働条件通知書にこの内容が明示されているかを確認しましょう。

 【有期雇用特別措置法による特例の対象者の場合】
 無期転換申込権が発生しない期間:T(高度専門)・U(定年後の高齢者)
 T 特定有期業務の開始から完了までの期間(●年●か月(上限●年))
 U 定年後引き続いて雇用されている期間

■参考リンク
厚生労働省「無期転換ルールについて

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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